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結局のところ、不安は的中した。


「パーシーのやつ、俺たちのなにが悪かったっていうんだ!」
「まったくだ。俺たちはジニーを元気づけようとしただけだっていうのに」


紅茶を飲みながら、2人の会話を聞く。
ほんの数日前に2人に相談したことは、なにひとつ解決していない。
ジニーはますますふさぎ込み、パーシーは2人を叱りつけた。


「そう思うだろ? 
「え、あ、うん」


2人は顔をおできだらけにしてみたり、髭を生やしてみたり、2人なりにおもしろいことをして元気づけたつもりではあるだろう。けれども、それはジニーを元気づけるには足りなかった。
やっぱりポッターに頼んでみようかなあとぼんやり考えながら紅茶を啜る。


「ちょっと話しかけてみようかなあ」
「ジニーにか? まああいつはのこと気に入ってたし、それで元気になればそれでいいけど」
「うーん、それはちょっと無理かなあ…。せめて何で元気がないのか聞ければいいんだけど」
「何でって…、…そういえば、何で元気がないんだ?」


フレッドは首を傾げた。同じようにジョージも首を傾げて「そういえば何故だ」とつぶやいた。


「俺たちはなにもしていない」
「ジニーの友人関係は良好のはず」
「コリン・クリービーが石になったからかな、って思ってたんだけど」
「ああ、それはあるかもな。友達の一人が石になったら落ち込むかもしれない」


もし私だったら、アリスが石になったら落ち込むどころじゃ済まないけれど、ジニーもそうだろうか。ジョージもフレッドも家族想いで友達想いだから、きっと2人もそうだろう。


「俺はが石になったら落ち込むどころじゃ済まないな」
「! そ、そーいうのフレッドがいるときは言わないで」
「フレッドくらいならいいだろ。こーいう空気に少しは慣れてほしいんだけど」
「あーはいはい。そこのバカップル、いちゃいちゃすんのはどっか別の場所で頼む」


そっと肩を引き寄せようとしたジョージの肩をそっと押し返す。
フレッドは呆れたようにソファに深くもたれかかった。
隣に座っているジョージはくつくつと喉の奥で笑った。
そしてわたしは恥ずかしくなって真っ赤な顔で俯いた。


「じゃあどっか行く?」
「い、いかない…」


それは残念、とジョージはつぶやいた。
さらに真っ赤になって、私は顔を上げられなくなった。





2013.6.29 三笠