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1週間が過ぎて、2年生のジャスティンと、幽霊の「首なしニック」が被害にあった。1度に2人が被害にあうのは初めてで、ホグワーツはまた不安感に包まれて、落ち着かない日々は続いていた。
そんな中、クリスマスは迫っていて、私は悩みながらもホグワーツ特急の予約をした。
そのことをジョージに報告したら、わかってたようにジョージはうなずいた。


「ああ、やっぱり帰るんだ?」
「うん。実家でやらないといけないことがあるから」


前に出した手紙について、お祖父ちゃんから呼び出しを受けていた。具体的な内容はなにも書いておらず、なんだか怖い。


「じゃあクリスマス休暇はなしだな」
「、そ、そうだね。会えないね」


覗き込んでくるジョージは意地悪そうに笑っていた。
いじわるそう、じゃない。いじわるだ、とは思う。いつだってそうだ。わたしだって言ってほしいのに、言わせようとする。言ってくれたらいいのに。でもこれ以上好きにさせないでほしいから、それはそれでいいのかもしれない。一足飛びにはしたくない。大切に大切に進んでいきたい。


「イヤ?」
「それは、ジョージ、でしょ」
「ふうん、は嫌じゃないんだ」


拗ねたふりをして、ああもう、だめ。そんな顔しないで。ずっと一緒にいたいよ。でもそんなこと言えないよ。唇を少し噛んで、ぼそぼそと小さな声で、つぶやいた。私の中が全部熱い。こんなちょっとの会話でこんなふうに惑わされちゃう私が単純で、余裕がなくて、いや、だ。


「…嫌っていうか…ちょっと、さみしい」


さみしいという言葉が合っているかはわからない。けど、今の気持ちにいちばんしっくりくる言葉がそれだった。だから言った。
ジョージは驚いたように目を見開いて、そしてそっぽを向いた。
ああ、知ってる。その仕草。少しだけ見えた耳が赤い。
いつも余裕のジョージにそんな態度をとられてしまうと、自分の言った言葉がすごく恥ずかしいような気になってしまって、あわてて口を開く。


「というか!そもそも、数日間だけだし!そんなに言うようなことじゃない、でしょ!」


そんなこと言ってたら夏休みはどうするのってはなしだし、と言ってみるがジョージはそんな私の言葉に関係なく、私の腕を引いた。引かれた先は、ジョージの、胸。


「…ごめん、ちょっと黙って。ハグしていい?」


否定も肯定もする前にぎゅうと抱きしめられた。わたしは何も言えずに、小さく首を縦に振った。




2014.5.25 三笠