休み明けの朝は身体が重い。きっと身体じゃなくて気持ちが重いのだと思うけれど、でもやっぱり身体も重たい気がする。はあとため息をつきそうになるのを堪えた。新学期。制服を着て朝ごはんに向かう。 「ねえ、。グレンジャーが休み期間中から保健室に籠ってるんですって」 「え?」 「グレンジャーはマグル出身だから、秘密の部屋の怪物にやられたんじゃないかって噂よ」 そういえば帰ってきてからハーマイオニーの顔を見ていない。ああそういえばポッターもロンも、だ。少し風邪をこじらせているだけなのかもしれないけれど、でも時期が時期だから、やはり秘密の部屋に関連してるんじゃないかって、そう思ってしまう。 「ポッターたちは平気なの?」 「ええ。ほら、そこで朝食を食べてるわよ」 「……元気そうだわ」 「そうね。でもほら、2人は魔法使いの出だから」 それが関係あるのかないのかわからないけれど、親友のハーマイオニー重傷なら、2人が平気に思うなはずがない。(それほど、彼らは仲が良い) だから、2人が元気なら、ハーマイオニーも命に別条はないのだろう。 ふっと息がしやすくなった気がした。ハーマイオニーはきっと、大丈夫だ。 とん、と背中に軽い衝撃が走った。振り返ると、私より少しだけ低い身長。 「ジニー? 大丈夫?」 「……ご、ごめんなさい」 「気にしなくていいよ。でも……、ねえ、顔色が悪いんじゃない?」 「大丈夫、大丈夫よ。には関係ないわ」 以前の快活な性格はどこにいったのか。俯いてる姿はどう見ても大丈夫じゃない。会話を続けようと思っても、遠くの席に他の一年生と一緒に座ってしまった。 「あの子、ウィーズリーの妹でしょ?」 「うん」 「前はもっと元気じゃなかった? フレッドやジョージの妹らしくないっていうか」 「……慣れない環境で大変なのよ。経験あるでしょ」 さあ早く食べましょう、と言ってパンを手に取った。詮索好きの彼女と話していると、時間がどんどん経ってしまう。重たい気持ちや身体は軽くならず、重たいままに朝食を詰め込んだ。 2015.05.24 三笠 |