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ジニーが日記帳を捨てて、あとは秘密の部屋のことが収まればいいと思っていた。
もしジニーのことが関係しているのなら、同時に秘密の部屋のことも解決するはず。
わたしはそうやって楽観的に考えていた。
最近では被害が出なくなって、石にされたみんなも薬が完成すれば戻ってくる。謎は気になっていたけれど、自然に解決するだろうと思っていた。だって、ダンブルドア先生やほかの先生たちが探っているんだもの。わたしよりもよっぽど優秀で経験を積んだ先生たちが。
だから、今日も通常通り授業を受けて、迫ってくる試験の勉強をした。


「生徒の一人がさらわれたって」
「秘密の部屋に閉じこめられたらしいよ」
「ね、ねえ、生徒って、」


誰、と訊くと、ルームメイトは視線をある一点に向けた。ジョージとフレッド、それにパーシーが一カ所に集まって暗い顔をして俯いていた。周りに人が寄りついていない。


「さらわれたのは、ジニー・ウィーズリー」


一瞬で目の前が真っ暗になった。自分が油断していた間に。日記帳を捨てたから大丈夫だなんて。ダンブルドア先生やマクゴナガル先生に言うべきだった。そうしていたら適切な処置がとれたんじゃないかって。ジニーがさらわれて、どれだけ時間が経っているんだろう。胸が苦しくなって、居ても立ってもいられなくなった。


、生徒は寮から出るなって、」


後ろでルームメイトの声が聞こえたけど、無視してグリフィンドールの寮を出た。動物の勘は人間よりもよっぽど鋭い。顔なじみのネズミを呼んで、ジニーの痕跡を探してもらう。嫌がる子も多かったから、いつもよりよっぽど時間がかかった。

たどり着いたのは、女子トイレ。マートルのいるトイレだった。急いで中に入ると、ロンとハリー、それにロックハート先生がいた。


2015.11.22 三笠