※このお話は、フレッド×アンジェリーナです。 苦手な方は注意してくださいませ。 また、この話は連載の派生話なので、読んでいなくても支障はありません。 「ウッドからの連絡ってなあに?」 そう訊いてくるアンジェリーナを見て、くすりを笑う。 首を傾げる彼女に、「それ、嘘なんだ」と言うと、びっくりしたように目を丸くした。 「ジョージがさ、のことが気になるみたいだったから2人きりにしてあげたくて。ごめんな、怒ってる?」 「そんな――、怒ってるわけじゃないけど」 「でも、と話してるのが君じゃなかったら、僕もこんなことはしなかったよ」 ジョージたちと離れたソファに座って、向かい合って話す。 くるくる変わる表情を見るのが楽しい。アンジェリーナはクィディッチのチームメイトで、同じ寮生で、1番仲の良い女友達。それ以上は考えてない。たぶん。 「ほんと、フレッドってば口ばっかり上手くて、やんなっちゃうわ」 「口ばっかり、って。口だけじゃないつもりだよ、僕は」 「どこまで本当なのかしら」 くすくすと笑うアンジェリーナはいつもよりもちょっとだけ寂しそうだった、気がした。 「…ジョージは、が好きなの?」 「そうみたいだよ」 「そう。はとても良い子だから、泣かせたら承知しないわよ、ってジョージに伝えてくれる?」 「わかったよ。君は随分が気に入っているみたいだね」 「気に入っているなんてもんじゃないわ。は私の親友よ」 アンジェリーナの言葉に、僕は少なからず驚いた。 とアンジェリーナとの共通点なんて、同じ寮であるという以外に思い浮かばなかったから。性格も得意な科目も出身も、なにもかも違うと思っていたのに、なんで親友になったんだろう。 親友になるのに理由なんて無いかもしれないけど。(フィーリングとか、そういうのもあるし) 「親友?君とが?」 「ええ」 「は他の子たちと仲が良いと思ってたよ。食事の時だってあまり一緒にいないじゃないか」 「部屋が違うし、中々時間が合わないんだもの。席を取ってもらうのも手間だし」 そう言うアンジェリーナの言葉には多分嘘は無く。普段の様子を見ていても、2人はそういう付き合いなんだろうなあと思った。悪い意味じゃなく、良い意味で。 「…他には何が訊きたいの? ジョージのために、の情報を集めたいんじゃないの?」 「おや。さすが、察しがいいね」 「誕生日は2月。バレンタインの3日後よ。血液型はO型。得意科目は…、ええと何かしら。飛行術は苦手みたいだけど、他は特別出来ないことも思い浮かばないし…」 すらすらと話すアンジェリーナの言葉を、軽く羊皮紙に書き写す。2月17日生まれのO型、飛行術が苦手、と。 それを聞いて、俺は思わず笑ってしまった。 「成績優秀な嬢らしいな。どの科目も平均以上、いずれは主席候補かい?」 「かもしれないわね。ただ、勘違いしないで。は努力家よ。パーシーには負けるかもしれないけど、たくさん勉強して今の成績があるの。…だから、絶対に、あの子の邪魔はしないでね」 アンジェリーナの真剣な言葉と、射るような視線に、思わず肩をすくめた。もちろん邪魔をする気はないけど、今後ジョージが上手くやったらもしかしたら2人は恋人同士になるかもしれないし、それがどう影響するかなんて分からない。邪魔をするなといわれても、なにが邪魔になるかなんて今の段階で分かりっこない。 「わかってるよアンジェリーナ。僕はあの2人に、幸せになってほしいだけさ」 「それならいいんだけど…」 「それと、アンジェリーナ」 「なあに?」 聞き返してきたアンジェリーナに笑みを向ける。 メモ書きした羊皮紙をポケットに突っ込んで、ちゃんと向き合う。 「が努力家なのは分かったけど、君だって相当な努力家だって僕は知ってるよ。しかも負けず嫌いだ。クィディッチをやってるとよく分かる」 「そ、それが、なに」 「なんでもないさ。ただ、」 僕の言葉に戸惑うアンジェリーナ。 予想通りの反応に、思わず顔が綻ぶ。同じチームの女子はアンジェリーナとアリシアだけ。でも、アリシアよりもアンジェリーナの方が幾分か負けず嫌いでクィディッチに真剣だって、僕は気付いてた。 まあ、どっちがどっちよりも、なんてことはあくまで僕の主観的な部分だから断言は出来ないんだけどね。 「君がいつも頑張ってるって僕が知ってることを、君に知って欲しかっただけだよ」 そう言ったら、アンジェリーナは少し頬を赤く染めて、ばか、と呟いた。 くすくすと笑いながら、僕はその表情を眺めていた。やっぱりアンジェリーナも女の子なんだなあ、なんて。当たり前のことを再確認しながら、僕は少しだけ彼女のことを、可愛いなあと思っていた。 友情と愛情の境目は、 (もしかしたら、今僕が立っている此処がそうかもしれない)(一歩踏み出せば、僕たちは、) 2010.08.07 三笠 |