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課題をなんとか終わらせて、へとへとになって寮に戻る。
消灯まであと10分程度。
そのまま部屋に直行して、ベッドに横たわる。

課題だけじゃなくて、ごちゃごちゃといろいろ考えすぎて疲れた。
いろいろってほどじゃなくて、まあ要はのことだけど。(最近はずっとこのことばっかりだ)


「あ、おいジョージ」
「ん?なんだよフレッド」


同じく既にベッドに寝転んでいるフレッドが声をかけてきた。
寝転んだまま、ごろりとフレッドのいる方向へ向きを変えた。


「もうすぐホグズミードだよな」
「ああ、クィディッチの試合が終わったらすぐだ」
「だよな。お前どうするんだよ」
「なにがだよ」


もちろんホグズミードには行くし、楽しみだ。悪戯専門店のゾンコの店はもちろんのこと、お菓子がたくさん売ってるハニーデュークスの店だって行きたいし、パブである三本の箒でバタービールを飲むのもいい。叫びの屋敷だって気になってる。


「なにがじゃなくてさ。と一緒に行かないのかって話」
「は!?」
「嫌がられはしないだろ。だってお前のことが嫌いなわけじゃないだろうし。ちょっとバタービールを一緒に飲む約束するだけでもいい」
「ちょ、ちょっと待った!」


慌ててベッドから飛び起きた。
部屋には他の同僚はいない。もしかしたら課題が終わってなくてまだ図書館にでもいるのかもしれないし、談話室でぐだぐだしてるのかもしれない。(僕等が既に課題を終わらせていることを考えると、たぶん後者だろう)
まあそんなことはともかく。初めてのホグズミードでを誘うなんて、そんな夢みたいなことが出来るはずない。


「ホグズミードでとデートしろって言ってるように聞こえるんだけど」
「そのとおりさ。はお前のことを嫌っちゃいない。好きになってもらうには積極的に行くべきだろ」


あっさりとフレッドは言い放った。
僕はなんて言い返していいのかわからなくなって、いやむしろ言い返す内容があるかどうかすらわからなくなって。意味のある言葉が口から出てこなくて膠着した。


「じゃあお前どうしたいんだよ。とデートしたくないのか?ハグもキスもそれ以上もできずにずっと清く正しいオトモダチでいたいのかよ」
「そ、そんなこと言ってないだろ。ただ、」
「チャンスは目の前に定期的に飛び込んでくるもんじゃない。自分から引き寄せるものだろ」


マシンガンのように言いたいことを言いきって、フレッドは口を閉じた。
あとは自分で考えろということなのか、消灯数分前にも関わらず布団をかぶってしまった。僕はもう一度布団に転がって、ぐだぐだといろいろ考えていた。
僕はとどうなりたいんだろう。
は僕のことどう思ってるんだろう。
僕からどうこうしない限り、たぶんの想いは永遠に謎のままだ。
そのままでいいのか。嫌なのか。フレッドの言葉を反復しながら考えた。



(もしと彼氏彼女の関係になれたとしたら。それで何が変わるんだろう)




2010.04.18 三笠