31

昨夜は予測どおり、夜遅くまで盛り上がっていたようで。
今日の朝食の時間、グリフィンドールの生徒は遅刻ギリギリ、眠たげな様子でのそのそとパンをかじっている生徒が多かった。

朝食を食べ終わり、何人かと談笑していたとき。
いつものようにたくさんのフクロウ便が広間に入ってきた。
真っ白いフクロウが一羽、私の目の前に舞い降りた。見覚えのあるキリリとした目つき。ホウ、と小さく鳴いた。


「この子、の家のフクロウ?」
「うん。お祖父ちゃんからかも」


手紙を受け取って撫でてやると、嬉しそうに擦り寄ってきた。
少しばかりごろごろと私の手の感触を楽しんだあとは、羽を広げてさっと飛び去ってしまう。すぐに帰るよう言われていたのかもしれない。

手紙を開けてみるとやはり祖父からで。なにやら一枚の写真が入っていた。
緑の壮大な森を背景に、祖父を含めたたくさんの人の写真。楽しそうに笑顔で手を振っていた。目を引いたのは、祖父の隣に立つ赤毛の男性。確か、去年までクィディッチチームのシーカーをしていた、チャーリー・ウィーズリー。ジョージとフレッドくんの、お兄さん。
確かルーマニアでドラゴンの研究をしているって聞いていたけど、まさかお祖父ちゃんも今ルーマニアにいるのかな、なんて予測を立てながら手紙を開いた。
懐かしい筆跡を追っていくと、その予測は当たっていることに気付いて、祖父の動物好きには少しだけ呆れた。まさかドラゴンにまで手を出すなんて。


「お祖父さん、何だって?」
「仕事のほうが一区切りついたから、ルーマニアのドラゴン研究を手伝ってるんだって。数か月はルーマニアに滞在するって書いてある」
「えっ、そうなの!?」
「うん。その仕事次第で、もしかしたらクリスマスもルーマニアで過ごすかもって」


写真と手紙をしまいながら、ふと考えた。
お祖父ちゃんがルーマニアに留まったとして、もしかしたら私もそっちに行けるかもしれない。そしてチャーリーさんがいるってことは、もしかしたらジョージたちもルーマニアに行くのかも。
―――なんて、そんなことあるわけないのに。期待はなかなか薄れない。


「ねえ、。お祖父さんがルーマニアにいるなら、もしかしてクリスマスはホグワーツで過ごすの?」
「え?」
「あの有名なハリー・ポッターは、ホグワーツでクリスマスを過ごすらしいわ。もしかしたらその関係で、親友のロナルド・ウィーズリーもそうするかもしれないし、それに引っ掛かって、ジョージとフレッドも残るかもしれない。…なんて、深読みしすぎかしら」


アリスの言葉を聞いて、少しだけ顔が熱くなった。
深読みしすぎというなら、むしろ私の方だ。アリスの方がよっぽど現実味がある。
クリスマスは家族と過ごすものだって分かっているけど。でも、もし、もしも少しだけ我儘を言っていいのなら。


(ジョージと一緒に過ごしたい、と。そう思った)



2011.08.20 三笠