昼食を食べ終わって、図書館に行く。
ジャンルごとにきっちり分類された大量の本の中から、参考書を3冊ほど持って、席に座った。
その中で役に立ちそうな部分を探してしおりを挟む。
その辺りで、ようやくジョージとフレッドくんが登場した。


「おはよう」
「「おはよう、」」
「そこ座って。今日は呪文学の宿題ね」


二人は自分の羽ペンや羊皮紙、教科書を机に置いて座った。
昨夜は変身術の解説をして、質問を受けて、それから今日の午前中に宿題を仕上げたはずだ。


「ちなみにの方は、やり残した宿題はないのかい」
「あと魔法薬学と魔法史がちょっとかな」
「冗談だろう…!? 両方ともまだ提出まで1週間近くあるじゃないか…!」


目をまんまるくして驚く二人。
この時期はどの先生も宿題をたっぷりと出すが、どれも直前になんとかやるつもりだったんだろう。


「そういえば二人とも、変身術の方は終わったの? もし良かったら間違いがないか見るけど」
「ああ、そうだな。そうしてくれると助かる」


何故だか二人はニヤッと笑って羊皮紙を差し出してきた。
なんだろう、と思いながらそれを開いて、私は思わず吹き出してしまった。
マダム・ピンスに睨まれないように必死でこらえて、忍び笑いをする。
羊皮紙には、すごく大きな字で結論のみが書かれていた。それも、二人とも、だ。


「とっても簡潔で、とっても分かりやすいまとめ方ね。間違いはないと思うわ」
「そうだろう?」


くすくす笑いながら、羊皮紙を返す。
この二人は何故か成績はいいし、宿題はこんな感じだったとしても、杖を持たせれば実際に出来てしまうんだから試験は大丈夫だろう。


「じゃあ、呪文学だけど―――、結論だけ聞くか、昨日みたいに流れに沿って説明するか、どちらがいい?」


二人は一瞬顔を見合せて、同時に言った。


「「結論だけで」」


私は思わず吹き出してしまって、ジョージとフレッドくんもくすくす笑った。
マダム・フーチが飛んできて、追い出されたけれど、それでもまだ笑い合っていた。



2012.7.22 三笠