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船に戻り、出来たばかりの自分のベッドで眠った。
ふかふかの真新しい布団は初めてで、なんだか慣れず、眠るのに時間がかかった。
朝起きると、着替えて顔を洗い、朝食の支度を手伝った。


「昨日はみんな何時頃に帰ってきたの?」
「覚えてねェなあ…。4時か5時頃だったか…。帰ってこねェ奴らもぞろぞろいるし」
「帰ってこないって…、酒場で寝ちゃったの? 大迷惑ね」
「いや、アー…、まあ、そんな感じだな…」


少し言いよどんだような台詞に疑問を感じたけれど、気にしない。
朝食のサラダにスープ、パンを作った。


「どうせ昼まで起きてこねえから、俺らだけで先食っちまうか」


コックと二人で出来たての朝食を食べ、いろいろ聞いた。
この船がどんな航路を来たのかとか、船員たちのこととか。他の人から聞いたこともあったけれど、少しずつ内容が異なっていて面白かった。(自分では自慢話だけど他の人から語ると意外なオチがついて間抜けな話になったり)


「この船は、どこに向かっているの?」
「さあなあ。まずはグランドラインを越えて、新世界だろうな。その後は・・・、多分お頭ですらわかんねえんじゃないか? お頭の目的は、この世界を見て回ることだから、どこでもいいのさ」
「そういうものなの」
「海賊はみんな海賊王になりてえわけじゃねえんだ。まあ、宝は欲しいが、そんなもん運が良ければいくらでも手に入る。それよりも、ロマンだ。自由を楽しめよ」


そんな会話をして、朝食を終えた。
さて、今日はどうしようか。そろそろお店が開く時間らしい。ふらふらと買い物でもしたらどうだと言われたけれど、一人でお店には行ったり店員さんと話す勇気はない。まあ、町中を歩くくらいならと、船を下りた。
だって、折角の陸地だもの。それに、私にとっては、あの島以外の初めての島。少しばかり、浮かれているようだった。


2015.12.23 三笠